Behind the build — Day 021
day21は、小さなアウトドアショップが集まるイベント「BASE WEIGHT」の公式サイト。イベントの情報は、開催決定、出展者の発表、タイムテーブル——と、開催日に向けて少しずつ確定していきます。インスタで流すと過去の発表が埋もれてしまうので、確定した情報を置いておく棚が要る。そして主催者は、たいてい忙しい個人チームで、Webの人ではない。そこで今回の主題です。サイトの更新を、Googleドキュメントを保存するだけ、にしました。

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仕組みはこうです。Googleドライブに「ブログ」フォルダをひとつ作り、その中にドキュメントを置く。サイトはそのフォルダを読みに行って、ドキュメント1枚=記事1本として表示します。ファイル名がそのまま記事タイトル。ファイル名の頭に日付を書けば(例:2026-06-12 開催決定のお知らせ)その日付の記事になり、頭に「_」を付ければ下書きとして隠れます。サイト本体は最初に1回アップするだけで、以後は誰も触りません。
聞かれる前に記事のページはどう増えるの?——ページは増えません。サイトは1枚だけで、住所の後ろに記事の番号が付く方式(動画サイトと同じ)。ファイルを増やさずに、記事だけが増えていきます。
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主催者の操作は、ドキュメントに書くことだけです。文章を打つ。写真をドラッグで放り込む。保存ボタンすら押しません(Googleドキュメントは勝手に保存されます)。それでサイトの一覧に記事が1本増える。管理画面もログインも、そもそも存在しない。ふだんの書きものと同じ場所で、サイトの更新が終わります。
写真のこと縦でも横でも、撮ったまま貼って大丈夫。一覧では正方形に、記事では元の縦横比のまま、サイト側が整えて見せます。1枚目に貼った写真が、その記事の顔(一覧のサムネイル)になります。
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この仕組みには、はっきりした制限をひとつ入れました。サイトに載るのは、段落・見出し・箇条書き・太字・リンク・写真。それだけ。文字の色やサイズ、フォント、表は、ドキュメント側でどう設定されていても、サイトには持ち込まれません。デザインはサイトが守るので、書く人は見た目を気にしなくていい。
実は途中まで、表も対応していました。でもやめました。表は、セルの結合や巨大な表など予期しない使われ方が必ず起きて、特にスマホで「崩れない」という約束が守れなくなる。制限を狭くするほど、約束は強くなる。「文字と写真だけ。だから絶対に崩れない」と一文で言い切れる道具の方が、渡す相手に対して誠実だと考えました。
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この仕組みで作ったブログは、検索エンジンからの集客(SEO)には向いていません。記事の中身はページを開いたあとに読み込まれる作りなので、検索エンジンに個別の記事が載ることは期待できないし、SNSでシェアしたときのカードも全記事共通になります。検索で新しいお客さんを集めたいなら、素直にWordPressのようなCMSを使うのが正解です。
では何に向いているか。「すでに読者がいる」サイトです。イベントはまさにそれで、来る人はSNSや口コミやチラシから来る。インスタで告知して、確定情報はサイトの棚に置く——インスタは拡散、サイトは着地点、という分業です。出展ショップの紹介記事なら、紹介された店主が自分の記事をシェアしてくれる。検索に頼らない集客の形が、最初から組み込まれています。
線引きの理由できないことを黙って作ると、渡した相手が困ります。「検索で集客したいなら、この道具ではないです」と最初に言えるのが、この連載で作る道具の作法。
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デザインは白地に黒の大きなタイポグラフィ、差し色はオレンジ1点だけ。ベタなアウトドア(茶色・ロッジ感)を避けて、都会のセレクトショップのようなミニマルに振りました。会場の川原を走る1枚だけ写真を置いて、あとは文字に働かせています。イベント名のBASE WEIGHTは、荷物の基礎重量という山の言葉。身軽になるためのイベントの公式サイトが、身軽な仕組みで動いている——それがday21の答えです。
小さなお店やイベントのサイトがすぐ古くなるのは、更新の置き場所が遠いからです。管理画面、ログイン、使い方の学習——その距離を全部なくして、いつも使っている書きものの場所をそのまま入り口にする。スプレッドシート、LINE、Googleカレンダーに続いて、今回はGoogleドキュメント。道具がCMSになる、の4つめでした。100連発は、まだ続きます。