Behind the build — Day 013

つくり方の全容

day13 は、インディーバンド「HOBO TOWN(架空)」の自主運営サイト。メンバーがスマホのLINEに「次のライブはここ」と送ると、サイトに即反映される。タイトル・日時・会場・価格と、フライヤーの画像。それだけメンバーが LINE bot に送れば、自分でサイトを編集する画面を開かなくても、ファンが見ているサイトに数秒で出る。day12 が「店主が手元のスプレッドシートを書き換える」サイトなら、こちらは「メンバーが LINE で送る」サイト。夜中にスタジオから帰る道で思いついた告知でも、編集画面に座るより早く出せます。完成したサイトと、その裏で起きていることを順番に。

HOBO TOWNサイトのNEXT SHOWセクション。上にフライヤーの大きな画像、その下に『梅雨をぶっ飛ばせ』のタイトル、日時、会場、価格、出演バンド名の表が並ぶ
サイトの「NEXT SHOW」(=この内容ぜんぶ、LINE経由で更新される)

01

これを動かしているのは、
LINE bot と、スプレッドシート。

Google スプレッドシートの俯瞰。type/title/date/venue/price/flyer の6列に、過去から将来までのライブが並ぶ。一番下にあるのが LINE 経由で追加された「梅雨をぶっ飛ばせ」の行で、flyer 列だけチェック印が入っている
これが裏側のスプレッドシート。一番下の行が、LINEから追加されたばかりの告知

サイトはただの HTML と JavaScript のファイルです。サーバーもデータベースもない。裏にあるのは、Google のスプレッドシート 1枚と、ドライブのフォルダ 1つ、それと LINE 公式アカウントの bot 1人だけ。メンバーは bot を友達追加して、ライブ告知のテキストとフライヤー画像を送る。サイトはスプレッドシートを読みに行って、いまの状態を表示します。day12 (=八百屋) のときと同じ「スプレッドシートを読みに行く」だけのサイトに、編集を LINE から流し込む口を付けただけ。専用のCMSも、編集アプリも、なし。

出した指示day12 と同じ仕組み (=サイトはスプレッドシートを直接読みに行く) を踏襲して、編集する側を LINE 入力に置き換えたい。スプレッドシートの直接編集と LINE 経由の追加が、両方できる構造で。専用の管理画面は作らない。

02

メンバーは、LINE に
「3行+価格」を送る。

LINEのトーク画面。メンバーが送ったメッセージは右側の緑色の吹き出しに『梅雨をぶっ飛ばせ/6-29 19:30/下北沢 ABCライブハウス/¥3,000』。すぐ下に bot からの返信『📷 5分以内にフライヤー画像を送ってください』と内容の確認が表示されている
テキストはこれだけ。bot が形式を読み取って、フライヤーを待つ

告知のテキストの形は決め打ちです。1行目に タイトル、2行目に 日時 (=「6-29 19:30」のような短い書き方でOK・自動で年を補完)、3行目に 会場、(任意で)4行目に 価格。たった これだけです。bot はこの形を判定して、「フライヤー画像を送ってください」と返信。bot の仕事は「テキストの形を見て役割を判定する」「画像が来たら受け取る」だけで、複雑な操作はありません。タイトルが思いつかなければ後で書き換えればいいし、価格は当日券のみなら省略していい。編集画面が「LINEのトーク欄」になっている、と言ってもいいかもしれません。

出した指示バンドメンバーの 4人 誰でも投稿できる形にしたい。LINE のグループに bot を入れて、誰の投稿でも同じスプレッドシートに反映される構造に。投稿者の名前は記録しなくていい。

03

画像は、自動的に
Google ドライブへ。

LINEのトーク画面。さきほどのテキストの下に、ライブのフライヤー画像 (=青い『HOBO TOWN』の文字と熱狂する観客の写真) が添付されて送信された状態
続けてフライヤーの画像を送るだけ。bot が裏で全部やる

テキストの次に画像を送ると、bot は LINE のサーバーから画像本体をダウンロードして、Google ドライブの「HOBO TOWN — flyers」フォルダに自動でアップロードします。ファイル名は時刻つきで自動命名。アクセス権は「リンクを知っている人なら誰でも閲覧」に自動設定。bot は その画像の URL を、先ほどのテキストと一緒にスプレッドシートに 1行追加する。サイト側は次にこのスプレッドシートを読みに行ったとき、新しい行を NEXT SHOW として表示します。
フライヤーの管理場所を、メンバーが手で用意することはありません。すべて LINE → bot → ドライブ → サイト のラインで完結します。

出した指示メンバー個人の LINE が bot の運営アカウントと紐づく形は避けたい。LINE 公式アカウント (=無料枠) をバンド名で取得して、bot 専用の入れ物として運用する形に。将来メンバーが入れ替わっても、bot は同じ場所で動き続けるように。

04

短いひと言なら、
メンバーのコメントとして。

LINEのトーク画面。bot からのライブ追加完了の返信『✅ ライブ情報を追加しました』が画面下部に表示されている
追加完了の返信。短文を別に送れば、それは「バンドのひと言」になる

「タイトル + 日時 + 会場」の形を満たさない、短い文だけを bot に送った場合 は、ライブ告知ではなく バンドのひと言 として扱われます。サイトの中段にある「FROM HOBO TOWN」の場所に、その文がそのまま反映される。リハの進み具合、最近の感想、レコーディング後の気分。長すぎず、その日の温度感だけ伝えられる場所として、サイトの真ん中に置きました。
同じ bot が、テキストの形を見て「ライブ告知 (=画像を待つ)」と「ひと言 (=即反映)」を振り分けます。送る側は、形を意識せず思いついたまま送って大丈夫です。

05

デザインは、
Zine の編集に寄せた。

HOBO TOWNの完成サイト PC全景。生成り紙のような薄ベージュの背景に、左上に太く黒い『HOBO TOWN』のロゴ、右上に観測ID風のテキスト、下に NEXT SHOW セクションのフライヤー写真と告知表、その下に今後のライブ一覧、過去のライブ、バンド紹介、連絡先と続く
完成形 PC。Zine の編集を意識した薄ベージュと、等幅書体の地紋

バンドのサイトでありがちな「黒地に派手な装飾のバンドサイト」を避けて、Zine (=自主制作の小冊子) や アートブックの編集デザインに寄せました。地色は うすいベージュ、本文は等幅のモノスペースで小さく、見出しは太いサンセリフで大きく、ロゴだけ昭和の屋台 風の カジュアル書体 を使用。「インディーらしさ」を派手さで表すのではなく、紙の質感や情報の並べ方の細かさで表すほうが、こういう小さなバンドには似合うと思います。
章番号や観測ID風のテキスト (=CV-013 / SIDEQUEST 02 など) を散らして、雑誌の編集の手触りに寄せました。「LINEから自動で更新される」という現代的な仕組みの上に、紙の編集の温度感を載せたかった。

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そして、完成形。

完成形 PC。HOBO TOWN ロゴから始まり、NEXT SHOW・UPCOMING SHOWS・RECENT SHOWS・ABOUT・CONTACT の順に編集ぽく並ぶ
完成 — HOBO TOWN(PC)
完成形 SP。同じ構成が縦長画面に詰まり、フライヤーや表の並びが1列に再構成されている
完成 — HOBO TOWN(SP)

メンバーは、夜中にスタジオから帰る道で、LINE bot に「次のライブ告知」を送ります。次の日、ファンがサイトを開くと、もう載っています。サイトの裏で動いているのは、ありふれた Google のスプレッドシート 1枚、ドライブのフォルダ 1つ、それと LINE 公式アカウント 1個だけ。CMSも、専用アプリも、要りません。「自分で更新できる小さなウェブサイト」を、最も身軽な形で実証したのが、今回の day13 です。day12 (=八百屋) と仕組みの根は同じで、編集の入り口だけ LINE に置き換えたバージョンと言ってもいい。

メンバーが、
LINE で送るだけ。

インディーバンドのほかにも、小さなライブ会場の「今夜のスケジュール」、フードトラックの「明日の出店場所」、フリーランス写真家の「直近の作品アップ」、農家の「収穫予定」など、不定期に発信したい個人事業者なら同じ仕組みで応用できます。「思いついたとき に、最短距離で出せる」をどう作るか — 100連発の中でもう少し追いかけてみます。

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