Behind the build — Day 011

つくり方の全容

day11 は、青木湖畔のキャンプ場「Pebble Lake Field(架空)」。今日の主題は、iOS 天気アプリの作法をキャンプ場サイトに持ち込むこと。実際の天気を Open-Meteo から取得して、時刻・月齢・雲量で背景が6つの表情に変化する。「今」を切り取る一点突破に振り切り、予約フォームや料金表のような通常のキャンプ場サイトの定型を意図的に外しました。途中でこれじゃただの天気アプリだと気付いて全面ピボット、LIVEと赤ドットは録画記号に見えるので却下、雨表現も二度失敗してから細かい雨筋を画面いっぱいにバラバラと落とす形に落ち着きました。直す前を順番に。完成形は一番下に。

同じサイトの時刻別の表情3点比較。左から 朝霧(=薄白)・夕焼け(=橙)・星空(=濃紺+星)
同じサイトが時刻と月齢で表情を変える(=左から 朝霧 / 夕焼け / 星空)

01

最初の姿は、
ただの天気アプリだった。

初稿。実天気と連動した大きな気温表示・時刻別タイムライン・10日予報・処方カード(=服装/タープ/焚き火等)の典型的な天気アプリのレイアウト
初稿 — 気温・処方・予報の典型的な天気アプリのレイアウト

初稿は iOS 天気アプリの作法をそのまま借りた構造で作りました。実天気を Open-Meteo から取得して、上部に大きな気温と「今夜から雨予報」のような処方ヘッドライン、その下に時刻別タイムライン、10日予報、処方カード(=服装/タープ/焚き火/星空/水温/鏡面/朝霧/夜の散策…)。動作はします。実天気が取れて、6つの表情の背景切替も動いて、「今この瞬間の青木湖」が見える。でも一見して「これじゃただの天気アプリだ」と感じた。処方カードはどの天気アプリでも言える内容で、キャンプ場のサイトである必要がない。処方止まりだと、サイトの固有性が消える。

出した指示これじゃただの天気アプリで、キャンプ場のサイトである必要がない。データ表示中心の処方カードは撤去して、サイトの固有性が出る形に作り直してほしい。

02

処方を、
体験に変えた。

体験カード「焚き火を囲む」「桟橋でコーヒーを飲む」「カヤックで湖を渡る」「霧の中を歩く」「蛍を待つ夜」「湖畔に椅子を出して、空を見る」が並ぶ
直した後 — 体験を主役に、天気データは下に小さく

処方カード(=「服装」「タープ」のような実用情報) を捨てて、体験カードに置き換えました。「焚き火を囲む」「桟橋でコーヒーを飲む」「カヤックで湖を渡る」「霧の中を歩く」「蛍を待つ夜」「湖畔に椅子を出して、空を見る」。体験を主語にすると、ここでしかできないことが前に出てくる。天気データは下に小さく根拠として残す。「夕方雨予報。湖畔の屋根付きスペースで焚き火を」のように、データから体験への翻訳を一行で。これだけで、サイトのキャラクターが立ち上がりました。

出した指示処方カードを撤去して、体験カードに置き換えてください。「焚き火を囲む」「桟橋でコーヒー」のような体験を主役に、天気データは根拠として下に小さく置く。

03

写真を、固定にした。
カードは、ガラスにした。

背景写真が画面全体に固定で表示され、その上に半透明のガラス風カードが並んでスクロールする構造
直した後 — 写真は固定背景・カードは半透明ガラスで重ねる

iOS 天気アプリの作法をもうひとつ取り入れました。写真を画面の背景に固定して、その上にコンテンツを半透明のガラスカードに入れて重ねる。スクロールすると、写真は動かず、カードだけが流れていく。背景が朝霧→正午→夕焼け→星空と変わっても、ガラスカードは同じ落ち着いた表情を保ち続ける。写真は変数、カードは定数の構造ができたことで、1サイトで6つの表情を出しても破綻しないデザインになりました。背景写真は1枚だけ Unsplash から選び、時間帯ごとに色合いを加工して、月や星を上に重ねる仕組みです。

出した指示iOS 天気アプリのUIのように、背景に画像を固定表示して、その上にすりガラスのボックスでコンテンツを並べる形にしてほしい。シーンが変わっても写真は動かず、カードだけが流れていく構造に。

04

体験を、
時間軸に並べた。

体験カードが時系列で横に並び、下の時刻目盛に「いま」を示す琥珀色のマークが付く
直した後 — 横スクロール + 時刻目盛 + 現在位置の「いま」マーク

体験カードを縦に6枚並べた状態は、スクロール疲れが出ていました。横スクロールに変更して、時系列に並べ直し、各カードの下に時刻ラベル(=「今日 18:00」「明日 5:00」)、その時刻目盛の現在時刻にあたる位置に「いま」を示す琥珀色のマークを置きました。読み手は「いま→これから→今夜→明朝→明日」と自然に時間を移動する感覚で見られる。「いま、できる」体験には琥珀色の縁と「いま、できる」バッジで強調。スクロールバーは下に出していますが、初期位置は現在時刻に該当するカードを左端に置いています。カレンダー的な情報を時間軸で見せる汎用パターンとして、スケジュール表・イベント一覧・施設の予約状況など他業種にも応用が効きそうです。

出した指示「今夜・明朝、ここでできること」のセクションは縦に長すぎる。横スクロールに変更して、上か下に時刻の目盛を入れてほしい。目盛も一緒にスクロールし、現在時刻が目盛上にハイライト表示されるように。

05

雨は、
二度の失敗を経て決まった。

雨が降る状態。短い雨筋が画面全体にバラバラの位置・速度で落下している
直した後 — 個別の雨筋を 110 本ほど作って落下させる

雨表現はうまくいきませんでした。最初は均等な平行ストライプで表現 → 何かのバグみたいに見えるので却下。次に「カメラのレンズに付いた水滴」風に丸い水滴を画面に散らす実装 → シャボン玉とか別のものに見えるのでまた却下。3案目で正解にたどり着いた。個別の短い線が、それぞれバラバラの位置・速度・長さで落下するのが、本物の雨にいちばん近い見え方。実装は 110 本ほどの細かい雨筋を作って、それぞれの雨筋の長さ・透明度・落下速度・始まるタイミング・落ちる位置をすべてバラバラに設定し、斜め下に流れ続ける動きを与えるだけ。雨の動きを見せる必要があるときは、静止した装飾では絶対に伝わらない、という学びでした。

出した指示雨表現を作ってほしい。1案目の均等な平行ストライプは何かのバグに見えるので却下。2案目のカメラレンズに付いた水滴風はシャボン玉や汚れに見えるので却下。3案目として、個別の雨筋を 100 本以上作って、それぞれの位置・速度・長さをバラバラにして落下させる方式で。

06

そして、完成形。

完成形 PC — 写真背景固定、ガラスカードが浮く、フルレイアウトでセクションが揃って並ぶ
完成 — Pebble Lake Field(PC・夕方シーン)
完成形 SP — 縦長の画面に上部の写真と体験タイムライン、右上に天気アイコン+気温の「いま」表示
完成 — Pebble Lake Field(SP)

背景写真は時刻と月齢に応じて 6 つの表情(=朝霧/朝/正午/夕焼け/月光/星空) に切り替わります。月は単に夜の時間帯で出すのではなく、月の満ち欠けを日付から計算して、新月期は星空・半月以上は月光、と判定。雲量が 85% を超える夜は月も星も隠れて、ただの曇り夜になる。雨が降れば画面に短い雨筋が落ち続け、背景も色味が薄まって灰色になる。右上には「天気アイコン + 気温」だけ。「LIVE」のテキストや赤い脈打つドットは、ライブカメラや録画を連想させるので使いませんでした。上部のヘッドラインは天気の状態別に 9 パターンの観察文を持っていて、「晴れた湖畔、空も水も青」「雲は低く、湖は静か」「雨の湖畔、傘の下から」のように、いまの状況に応じて自然な一行が出ます。「今」を切り取る一点突破に振り切ったキャンプ場サイト。これが今日の到達点です。

リアル天気と、
「いま」を切り取る。

キャンプ場のサイトに訪れる人は、ふつう「予約する前」が圧倒的に多いはずです。それなのに今日は「今この瞬間の青木湖」だけを大きく見せるサイトを作った。「予約ボタンが目立たないキャンプ場サイト」というアンチパターンが、結果として「ここで今、何が起きているか」をいちばん強く伝える形になりました。

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